セメントを使わない
コンクリート製品を
届けたい。
環境問題に立ち向かう、
インフラテックの新たな挑戦
-
K.S.
総合技術研究所
所長兼開発課長 -
M.N.
総合技術研究所
担当課長 -
N.M.
総合技術研究所
担当課長 -
K.SH.
総合技術研究所
係長
数百種類の試験・試作を繰り返し、
たどり着いたGRC
プロジェクトスタートの経緯は、「地球温暖化などの環境問題が深刻化する中、研究開発部門として何ができるか考えたのがきっかけでした」と語るのは、開発課 担当課長のM.N.。
M.N.: なかでも、当社でメイン商材として扱っているセメントは生成時に多くのCO2(温室効果ガス)が発生します。セメントに関連するCO2は日本全体の約3%とも言われている状況下、その使用量を少しでも抑えたいと思い、ゼロセメント開発を志したのが2017年のことです」
ただ、このプロジェクトはインフラテックとしても初の試み。「決して順風満帆にはいかなかった」とメンバーは口を揃えます。
M.N.: 開発を進めたところ、『セメントほどの強度が得られず、鉄筋腐食の早期進行のため低アルカリコンクリートになってしまう』という課題が発生しました
そこでチームメンバーは、どの工場で、どのような技術を、どの製品に使用するかを協議。3年間の年月をかけて、材料の配合など微調整を重ねながら、100〜200種類の試験・試作を繰り返してきました。
M.N.: 結果、たどり着いた最適な素材がGRC(ガラス繊維強化セメント)でした
価格と耐久性を両立した製品を
提供すべく、日々研究を重ねる
開発にあたりこだわったのが、「価格を抑えつつ、品質(耐久性)を担保すること」でした。
M.N.: 配合を行うにあたり、数ある素材の中で最も高価なのがGRCでした。ですので、どうにか工夫できないか考え、海外のガラス繊維メーカーに直接交渉。結果、比較的安価なガラス繊維を約6種類ほど集めることに成功したのです。その後は、品質をいかに長く保持できるか試す耐久性試験を重ねながら、何十種類も試験体をつくりました
最近、完成した一つの製品をようやく現場に納められたのが、大きな一歩だと思っています」と語るのは、総合技術研究所 所長兼開発課長のK.S.。
K.S.: カーボンニュートラル(※)を目指す流れが出てきている中でも、社会的意義が高い活動だと感じていますね。一方、世の中にさまざまある『コンクリート製品』という中で捉えると、GRCはまだまだ限定的なものです。広範囲で環境に良い影響を与えることを考えるのであれば、もう少し視野を広げていかないといけないと思っています
「今後もより良い製品をお客様に提供すべく、ブラッシュアップを重ねていく予定です」とメンバーは笑顔をのぞかせました。
(※)...温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること
各社と協働し、環境負荷軽減を目指す
最後に、本プロジェクトに携わったメンバーに今後のビジョンを聞きました。
M.N.: ゼロセメントには温泉地域や下水など、酸性の環境に強い製品ができるというメリットがあります。そういった場所で活用していただけるよう発信を続けたいです
K.S.: インフラテックにはグループを含め26の工場がありますが、まずは岡山工場をゼロセメント化したいという想いがあります。それによって当社の認知が上がり、同業者にとっても環境問題について考えるきっかけになったら嬉しいですね
N.M.: SDGsについては、メンバーだけでなく設計コンサルタントやゼネコンも強く意識している部分ではあるので、みなさんと協力しながらより良いものが提供できればと考えています
K.SH.: 材料の配合において新技術を取り入れる、設備面では工場の生産性を上げるなど、私たちチームメンバーが率先垂範して取り組んでいきたいと思っています
M.N.: 当社単独ではなく、さまざまな会社と協力しながら、環境負荷を軽減する工法を追求していきたいです
という言葉の通り、環境保全に対する取り組みはもはや必須とされる昨今。どのように製品が活用され、良い影響が広がっていくのか、今後とも目が離せません。